引き算のものづくり

松山油脂:富川義夫

引き算のものづくり

松山油脂の歴史を教えてください。

富川 1908年に雑貨商として創業し、石炭商社を経て1946年に石鹸作りを始めました。
当初はOEM(相手先のブランド名で製造すること)のみでしたが、オイルショックに伴い石鹸の需要が高まったことで弊社の業績も伸び、1995年に自社ブランドである「Mマークシリーズ」を発売しました。
その後、「肌をうるおす保湿スキンケアシリーズ」や「LEAF&BOTANICSシリーズ」、「北麓草水」を発売し、お客様のニーズにお応えできるよう商品開発を続けています。

松山油脂のコンセプトなどはありますか?

富川最初の自社ブランドである「Mマークシリーズ」は、年齢や性別を問わずどなたでも使えるよう、余計なものを加えず必要なものだけを残す“引き算のものづくり”をコンセプトに開発されました。
石鹸や化粧品はお肌につける日用品ということで、弊社では合成香料は使わず、植物から抽出された天然の香り成分である精油、いわゆるエッセンシャルオイルを使用しています。
もちろん合成香料の方が仕入れの面でも安定はするのですが、やはり直接お肌につけていただくものであり、またお客様に香りを楽しんでいただきたいという思いからエッセンシャルオイルで香りづけをすることにこだわっています。
ただ、「Mマークシリーズ」のコンセプトである“引き算のものづくり”では、必要なものだけ突き詰めていくため、新製品の開発の際にできることが限られてしまいます。
そこで、そのシンプルなものに保湿効果という付加価値を加えた「肌をうるおす保湿スキンケアシリーズ」、また植物の香りやエッセンスといった植物の恵みを加えた「LEAF&BOTANICS」を開発しました。
また「北麓草水」というブランドでは、お肌の外側から健やかにすることに加え、食事などの生活習慣を整え“内側からも健やかに”というアプローチもしており、化粧品だけではなく食品までお客様にご提案させていただいております。

松山油脂の富川さん

▲取材場所は松山油脂さんにて。取材の様子

なぜスミファに参加するようになったのですか?

富川スミファでは毎年工場見学の案内とワークショップ、物販をしているのですが、一般の方に工場を見てもらい身近に感じてもらうことで、墨田区のものづくりを一緒に盛り上げ、少しでも地域貢献したいという思いからスミファに参加し始めました。
実際に一般のお客様に工場を見せることで、日ごろから整理をしていこうといった社員の意識付けにもなっています。
またスミファをきっかけに何度も工場見学に訪れてくださるようになった方もおり、大変ありがたく思っております。
一昨年まではスミファの定員を30人としていたのですが、予想以上にお客様の数が多かったので、去年からは前後半に分けて定員を計60人としました。
嬉しいことにそれでも去年も予約がいっぱいになりました。

▲松山油脂のオリジナルブランド製品

▲富川さんと一緒にパシャリ・対談ありがとうございました!

スミファで案内予定の工場見学を体験させて頂きました。

▲石鹸をつくる釜、外にあるタンクから原料が運ばれてきます

▲釜の中の石鹸は液状なんです

▲商品に欠陥がないか確認し梱包していきます

▲固形石鹸は乾燥専用部屋で乾燥させます


取材を終えて・・・

インタビューの後、実際に工場を見学させていただいたのですが、見上げるほど大きい機械設備に驚かされました。
工場内はほとんど機械化されていますが、そのなかで従業員の方はどんな仕事をしているのかを知ることができて楽しかったです。
またこの工程には多くの人手が必要なのかと意外に感じたり、この工程はマニュアルではなく従業員の目利きで調整しているのかと感動したりもしました。
ぜひ工場見学に行って色んな発見をしてほしいです!

取材担当:佐藤光志朗(早稲田大学)