創立100年以上の歴史・時代を越えて

東日本金属:小林亮太 × 望月印刷:田中一博 × フットマーク:三瓶 芳、吉河祐子

創立100年以上の歴史・時代を越えて

業種は違えど、何十年という時間を生き残ってきた歴史ある3社。
3社がいかにして長い歴史を積み上げてきたのか、東日本金属の新工場「鋳交Factory」にてお話を伺いました。

時代に合わせて

取材長い時間を歩む中で、どんな転換点がありましたか?

田中印刷の技術が変わりました。
甲板印刷からオフセット印刷に印刷の方式が変わったのが一番大きいと思います。
どちらも版にインキを付けて紙に転写するのは同じですが、オフセット印刷では1時間に14,000枚くらい刷れます。
大量生産に対応することができるようになりました。

小林東日本金属は小さな転換の繰り返しで生き残ってきた会社です。
創業者の曽祖父が新潟から出てきて鋳物工場を始めた、さらに祖父が自ら職人としてものづくりに関わってメーカーの体制を築いた、ということは今の会社の礎であるし大きな転換であったと思います。
それから父の世代になっても同じことばかりやるのではなく、製品の品質を上げてきましたし、作るものが変わってきました。
私が入社して16年になりますが、鋳造・加工・組立とやっていることは同じでも、素材・品質・お客さんからの要望など、常に変化を重ねてきたので残れているんだと思っています。

三瓶商品や事業が変わってきました。お客さんの要望と向き合って、それを形にするのを主にやっ ているので、お客さんが変わるにつれて私たちも変わってきました。
水泳関連の商品を出したり介護関連の商品を出したりというのがそれにあたります。
世の中は常に変わっているので、それに合わせて自分たちのできることを常に考えてやっていくことが必要です。
今は水泳関連・介護関連の商品を中心でやっていますが、その次のチャレンジをしていかねば、と思っています。
常に変わっていかないと続かないんでしょうね、100年もってなると。

一同そうですね。

東日本金属にて対談

▲対談の様子

取材お客さんや技術が変わってきたということでしたが、働き方でなにか変わったことはありますか?

田中働き方は変わってないですね。
ただ、少し前までは正社員だけだったのがパートさんや契約社員さんも雇うようになり、働く人の形態が変わりました。
強いて言うならば、印刷業界もデジタル化が進んで効率化されたので、家に帰る時間がだいぶ早くなりました。

小林私たちも働き方は変わってないです。
社員旅行や協力工場さんとの新年会など、伝統を残しながら働いています。
また、必要に応じて残業をしてもらっていますが、なぜその残業が必要なのか、「残業すればいいや」ではいけない、ということを伝えています。

三瓶労働時間という観点ではなく働く人の意識で言うと、仕事そのものが自分にとってどんな価値を持つのか、という考え方が変わってきたと思います。
たしかに仕事は「お金をもらう手段」ではありますが、それだけではあまりにも寂しい。
社員には、働く意味合い、自分の人生をなににかけるか、その答えを見つけてほしいと思っていて、そのお手伝いをすることが社長としての私の役割だと思っています。
「好きなことやってよ!」というスタンスです。
彼女(吉河さん)の例で言うと、広報が必要だと思っていたときに「広報部門ね。」と伝え、0の状態から自分で仕事を作ってやってもらいました。
いろいろな媒体にとりあげられているのは、彼女の功績が大きいと思います。

吉河やりたい仕事ではありましたが本当になにもない状態だったので、本を買ったりセミナーに行ったりして自分で勉強しました。

東日本金属新工場「鋳交Factory」

▲工場内の設備もお話いただきました


変わらないもの

小林「人」です。
昨年祖父が亡くなったときに私たちはなにを大切にしてきた会社なんだろうと考え、「人」という答えに至りました。
私たちは「下請け」という言葉の代わりに「協力工場さん」という言葉を意識的に使っていますが、これも人を大切にしているからです。
私たちが生活できているのは、日々砂まみれになって働いてくれている職人さんたちのみならず私たちにできないことをしてくださる協力工場さんがいてくださるからだ、というのが祖父からの教えです。
私たちのような会社は、技術などはもちろんですが、「人」という要素をおろそかにするとつぶれてしまうと思っています。

三瓶同感です。私たちの場合は、仕入先さんなどに対しても同じ土台で話をしています。
また、贈答品を受け取らず、接待をせず・受けずということも心掛けています。

▲集合写真をパシャリ!向かって左奥から東日本金属小林氏、望月印刷田中氏、フットマーク三瓶氏、吉河氏。前列向かって左からは赤木、高橋


取材を終えて・・・

今回の対談で、企業が何十年も継続して存続していくために何が必要か、とういことについて考えされられました。
業種は違いながらも共通するのは、時代の変化に適応してサービスや製品を変えていきながらも、時代を経ても決して変わらない大切にするものがあるというところで、歴史ある企業を見る上でこれからも参考にしたい視点であると思いました。

取材担当:赤木拓仁(早稲田大学)


お話を聞いていく中で、実際に商品をみせてもらう機会がありました。
これほど長く存続する中小企業が多いのは日本以外に珍しい、という話もお聞きし、日本の中小企業の地力の強さというものを感じることができました。
同時に、自分の身近にある中小企業への無知さを気づかされ、その会社がどんなモノを作っているのか、どのように地域に根付いているのか、ということについてもっと興味を持ち、理解を深めてみたいと思いました。

取材担当:高橋大貴(早稲田大学)