新たな挑戦と続けていくこと

松山油脂:杉崎広信・富川義夫

新たな挑戦と続けていくこと

松山油脂の歴史について教えてください。

富川・杉崎1908年に雑貨商として創業し、石炭商社を経て1946年から石けんを作り始めました。墨田区は河川が多く、当時は河川を物流に利用していたため、資材や原料の運搬に適していたことや地価が安いことから製造業の企業が多く、また、皮のなめし産業が盛んだったため、石けんの主原料となる動物性油脂が入手しやすい土地柄だったこともあり、石けんの町として発展しました。やがて弊社はオイルショックの追い風を受けて業績が伸長し、その後、1995年には自社ブランドである「Mマークシリーズ」を発売しました。その後「肌をうるおす保湿スキンケアシリーズ」や「リーフアンドボタニクス」などを販売し、現在もお客様の様々なニーズにお応えできるよう、製品の開発を続けています。

自社製品の販売を始めた理由は何ですか?

富川・杉崎私たちは「自分が使いたい」「家族に胸を張って『自分がつくった』と言える製品をつくりたい」という気持ちを大切にしています。自社ブランドの開発は、自分の仕事に誇りややりがいを持つことや、自分たちが良いと思える製品を直接お客様に伝えたいという思いがあったためです。下請けのみの事業のままでは価格競争の煽りを受けてしまったり、相手先の都合によって業績が左右してしまうかもしれません。そのようなことがないよう、自分たちで考えて、決めた原料・処方(原料の組み合わせと配合割合)・デザイン・価格の製品を開発・販売することとして、他者に左右されることなく、企業として自立していくことを決めました。ただ、それは同時にこれまでOEM(相手先ブランド名製造)の相手先であった企業に、1ライバルとして名乗りを挙げるということになります。そのような点で、自社ブランドの販売開始には多くの困難が伴ったようです。


▲向かって左から松山油脂の杉崎さん、富川さん

▲取材場所は松山油脂さんにて。取材の様子

富川・杉崎松山油脂では、「安全性と環境性、そして有用性のバランスの取れたモノづくり」を掲げ、製品を作っています。 自社ブランドのはじまりは「Mマークシリーズ」です。子供から大人まで、性別や年齢を問わず家族みんなが使えるシリーズで、どのようなお客様にも肌に対する負担が少なく、毎日安心して使っていただきたいとの思いで、余計な成分を加えない“引き算のものづくり”として開発しました。ただ、そればかりでは開発担当者のできることが限られてしまいます。なので次に行なったのは「Mマークシリーズ」で培った知見を生かし、更なる保湿成分を配合し、女性にとって最も基本的で大切な“保湿”に重点を置いた「肌をうるおす保湿スキンケア」や、植物エキスや天然精油など、有用成分となる植物の恵みをアイテムの特徴や使い心地に合わせて配合した「リーフアンドボタニクス」など、現在では全8種類の自社ブランドがあります。誰もが使えるシンプルで肌に優しい製品から、こだわりのある人向けの製品まで幅広く作っています。

インタビュー時には、松山油脂さんオリジナルの富士山の天然水をいただきました。その天然水と製品との関係についてお伺いできますか?

富川・杉崎こちらのペットボトルの天然水は工場見学にお越しいただいたお客様などにお出ししています。
松山油脂は、墨田工場のほかに、山梨県の富士河口湖町と富士吉田市にも工場があり、富士河口湖工場は今から10年ほど前に建設されました。こちらの工場の特長は、富士山から流れてくる雪解け水にあります。工場で使用する水はその雪解け水が地中に浸み出た伏流水をもとにしており、とても清らかな水です。透明石けんや化粧水などのスキンケア製品にはその水を配合し、製造しています。こちらの天然水は非売品ですが、お越しいただいたお客様に富士河口湖町の水のよさを知っていただきたいとの思いから、近隣の飲料水メーカー様のご協力のもと、この天然水をご用意しました。

取材非常にクリアな水で作られているからこそ、そこで作られる石鹸にも相当な価値が生まれるんですね。


▲お伺いした際にいただいた天然水

▲体の中を整え、美しくすることを心がけた製品「北麓草水」についての冊子も見せていただきました

今回の取材では実際にスミファ当日に工場見学で回るルートを案内させていただきました。

富川工場の入口には大きな4つのタンクがあり、これらには全て違った石けんの原料が貯蔵されていて、ここから工場内部へとパイプを通じて運ばれていきます。 工場の建物は戦後から変わらない部分があったりと、古くから使われているものですが、必要に応じて改修を施し、従業員が働きやすい環境を整えています。
石けんは大まかに鹸化、塩析、静置という一連の流れを100時間ほどかけて行うことで、石けんとして完成させることが出来ます。 当日の工場見学では、それらの状態にある、製造中の石けんの様子を見ることが出来るかもしれません。
また、今回のワークショップは未定ですが、どのようなワークショップを開催しようか検討しています。リピーターのお客様もいらっしゃり、ご好評をいただいているツアー&ワークショップですので、今年のスミファでもお客様のご満足いただけるワークショップができればと思っています。

取材貯蔵タンク→製品の工程(製造・乾燥など)→梱包までを細かくご説明いただきました。石鹸の工場ということもあり工場内部はとても良い香りで包まれていました。


▲工場の外にある4つのタンク

▲ここから工場見学のスタートします

▲工場内にある機器


▲石鹸をつくる釜、外にあるタンクから原料が運ばれてきます

▲釜の熱で室内が蒸すように熱く感じます

▲製品の梱包を見学、ほこりなどが入らないよう部屋内部の衛生管理がされていました。作業手順も伺いました


今までは、「職人さん」という感じの人が多く働いている小さな工場に見学に行く機会が多かったが、今回ははじめて大規模で少量多品種のモノづくりを行う工場を見学しました。
事務所も工場もとてもきれいで、石けんを作る会社だけあって、徹底して清潔な環境を作ることに努力しているのだなと、感じました。

取材担当:内村剛大(早稲田大学)

大学の授業を通してこれまで様々な工場を見学してきましたが、松山油脂さんの工場はその中でも群を抜いて大きな工場であると感じました。大きな釜で大量の石鹸が作られているところや、見上げるほどの大きさの機械で石鹸がチップ状にされていく様子は、普段ではなかなか見られることのない貴重なものだと思います。是非工場見学に行かれることをオススメしたいです!い

取材担当:岡村一輝(早稲田大学)