企業対談 vol.07「墨田とスミファへの想い」
スミファの第1回から参加されている3工場
【ウレタン・スポンジ加工をしているサトウ化成・佐藤さん、建築金物を得意とする歴史ある鋳造品メーカーの東日本金属・小林さん、精密小型部品を得意とするプレス加工メーカーのヨシズミプレス・吉住さん】に
スミファそして墨田という地域について伺いました。
みなさんにとってスミファの役割はどういったものなのでしょうか?
サトウ化成:佐藤モノの価値観を知ってもらいたいと思っているんです。
みなさん普段買うものって、できたものしか見えていないじゃないですか。
製造についてもテレビとかで見るとベルトコンベアーに乗って流れている作業だったり人の手が入っていなく価値観がわかりづらいものもありますよね。
あんなに早く大量にできるから安いものができる。だから他の様々なものがあんな風にできるんだろうって思っている人もいると思うんです。
でも実際はそうじゃないんですよっていうことを知ってもらいたい。それを知ってもらうにはスミファはいい機会だと思いますし墨田区って多種多様なものづくり工場があって生活に根ざしたものをつくっているのでわかりやすいと思うんですよね!
そこで観てもらうことで1つ1つ手を加えて作られているということを知ってもらう、だから高いものもあれば安いものもあるとわかってもらえると思うんですよね。
そのきっかけになればいいと思っているんです。
東日本金属:小林そうですね。あんなものをこんなところでこんな風につくっているっていうことを知ってもらうのにスミファはとてもいい機会だと思うんです。
ヨシズミプレス:吉住私が想う1番は次の担い手ですかね。
子どもたちにこんな仕事があるんだよっていうことを知ってもらいたいですよね。
1つのものができ上げるまですごい労力を費やすわけですよね。トレイアンドエラー、試行錯誤を繰り返しながら作り上げる。
そしてそれの結晶が製品になるいう達成感、喜びというのは言葉では伝えきれないものがあります。
そういったものづくりの楽しさ、面白さ、ひいては日本のものづくりの質の高さを知ってもらいたい
そしてそこから職人になりたいって思ってもらえたら嬉しいですよね。
小林私のとこもそれもあります。
工場見学で学生さんや仕事旅行などを受け入れている1つには学生さんたちの就職先に選んでもらえるきっかけになればいいと思っているんですよね。
大学に行っている方で我々のような工場が就職先の選択肢にあがることがないわけですよ。
工場を観てもらうことで選択肢に入れてもらえれば嬉しいですが、もし選択肢にならなくてもこんなところがあるんだっていうことは知ってもらうことから始めないと、
今の職人さんの技術の継承という観点からも次に繋がっていかないと思っています。なので、こういった工場があるというとすら知らなくて就職をしてしまう、ということを変えていきたい気持ちなんです
地域から見た工場という視点は変わりましたか?
小林近くの方も工場があることは知っているけども何をやっているか知らない方も多くて、スミファのノボリを見て入ってきてこんなことやってたの!っていうことが結構ありますね!
吉住工場って閉鎖的なんですよね。
安全などの問題もあり全部をオープンというわけにはいかないんですけども、知ってもらうということは今後の日本のものづくりの活性化につながればいいなって思いますよね。
小林スミファをやることで子どもたちに仕事をしている親父の姿を見せることができるのはいいですね。それに我々が普通と思っていることが意外に周りの人からみると普通じゃなかったりなんて気づくこともよくありますね。
私の子どもは汚れているバットを持ってきてエアーで汚れを飛ばしているんですけど、それは我々にとっては当たり前の光景なんですよね(笑
佐藤工場の子どもにすると当たり前、だけど周りから見ると非日常的な光景なんですよね。 我々も来ていただいて気づくこともあるし来られる方にとっても気づくこともありますしお互いにとって結構面白いことばかりですね。
貝塚様々な人の目に触れることでものの視点が多角的になり、自分たちの視野が拡がるわけですかね?
佐藤普段やっていることを一般の人にわかりやすく説明をするのに、自分たちでももう一度仕組みを紐解いていかないといけないので理解が深まりますね。スミファをおこなう側としては勉強になります。
小林去年も来てくださった方に同じ説明をしてもつまらないでしょうから、常に新しいことを増やしていく必要はありますよね。何か変わってないと楽しくないですもんね(笑
うちは何人かの社員がスミファを手伝ってくれているんですけど、自分も聞かれるという意識を持っているので意識は高くなってきていますね。
貝塚スミファを通して社員さんの意識も変わってきていますか?
吉住うちは3年目から工場長にスミファの工場案内をしてもらっているんですけど、普段している仕事を見てもらえるとしいうことが嬉しいみたいなんです。
普段は外部の人と話すことも自分がしている仕事を知ってもらうこともなかなかないわけです。
そこにお客様に来ていただいて興味関心を持ってもらって感動してもらえるわけなので嬉しいんですよね。自主的に少しでも安全になるように整理整頓をしたりするんです。
小林鋳物場の職人さんは最近は聞かれることが嬉しい様子で、最近は聞かれていないのに説明をしている状況です(笑
吉住うちもそうですね(笑
墨田ってみなさんにとってどんな地域なんですか?
佐藤昔のイメージの方が強くて、何の音なんだろう?っていう工場の音が昔はあちこちで聞こえてきていてそれがかなり減ってきているのを実感しています。
小林においについてもそうですね。 あとは、どこどこって言われるとすぐに光景が浮かんできてピンとくる
佐藤まちがコンパクトなんだよね。そのコンパクトなのがいいところなの。いうとすぐにイメージがすぐに出てくるぐらい狭い地域。
小林他所から来た人は地域のつながりが強いし、親切だし、おせっかいだよねとはよく言われますね(笑
僕らからすると当たり前なので言われて初めてそうなんだっていうことはよくありますね。 それとスカイツリーができて雰囲気が変わりましたね。
スカイツリーがというよりは人の雰囲気が変わったように思えます。新しい人が入ってきて溶け込んでいるんですよね。
吉住産業もこれというものはなく様々な業種がひしめき合っていて面白い地域ですね。
佐藤今回のスミファだってガラス、金属、印刷、革、ニット他にもいろいろとあってこんな多種多様な産業がある地域ってなかなかないと思いますよ。
小林行政の方もとても柔軟な考えを持っていますよね。とても協力的ですしとても熱意を持っていらっしゃる。また異業種ばっかりだからなのか仲がいいんですよね。お互い競合しているわけでもないのでざっくばらんに話すこともできますし。
前島墨田の方って飾らないじゃないですか。
小林飾れないんです(笑
取材担当者より一言
これから初めて参加される方もこれまで 参加された方もスミファの楽しみ方に ふれることのできる対談だと思います。
またこれから参加してみたい工場の方 にもぜひオススメだと思います。
「飾れないんです」という等身大の言葉が 墨田という地域を表しているように感じます。
取材担当:貝塚高士