取材者:笹津本日はどうち製本所さん、東北紙業さん対談よろしくお願いします。
どうち製本所:堂地よろしくお願いします。
東北紙業社:加藤よろしくお願いします。
笹津「紙」を扱う企業同士で、基本的に分業制かと思いますが、紙を加工・製本していく上で何か大切なものはありますか。
堂地うちは、紙を製本するのだけど、そこで紙を製品にするために必要なのが「のり」なんだよね。
笹津普段使っているのりとは違うんですか?
堂地粘りがあって、速乾性のある、壊れにくい、はがしやすいもの。のりが強いとペーパーナイフで切ってばさばさになってしまうし。
紙にのりがしみ込んじゃうと剥がれにくくなってしまうんだよ。
のりを付けるときに100冊ぐらい積み重ねて、上に3~5kgのおもりを置いて、側面にのりを塗るんですよ。そうやって押さないと隙間が空いてヨレてしまうので。
のりは乾くとゴムみたいになるから、多少ひねっても柔軟性があるから、キューブ上のものでしたら、らせん状のきれいな形が維持できるんですよ。
加藤その加工に合うのりを探すのが大変で、紙と言っても色んな種類の紙があるので、のりをどう作るかというのが当たり前のように話しているけど、すごく大事な点なんですよ。
堂地今のノリは、乾きやすくて、次の工程にすぐ進めるというのが、うちではポイントかな。のりも原液があって、ほんとうにトロットロだから、紙によって水で薄めて使っています。
加藤うちで使っているのりでもシルクスクリーン用や製本用、合紙用(紙と紙を平面で貼り合わせる)や木とゴムを貼り合わせるのりや、ひめのりというでんぷんのりだったり・・・
笹津口に入れたりしたらあまくなるのりですよね。小学生の頃友達と遊んでいました。
堂地えーーー!!(驚
加藤でも、今のでんぷんのりは食べても大丈夫んなんですよ。
堂地加藤笹津へーーー!
加藤昔のは腐らないように添加剤が入ってたけど、今は園児が口に入れても大丈夫なようにしていて、いつも使っていたでんぷんのりが腐り始めたのがそれを知るきっかけになったんですよ。
堂地知らなかったです。
加藤腐ってしまうから、なるべく空気を入れないで保管するように、絞って出るような形で保管しています。これと他ののりを混ぜてとろみを出します。シルクスクリーン用ののりは違うけど・・・むしろ乾かないのりを作らないといけないので・・・
笹津乾かないのりって、いったい何なんですか?
加藤これはシール用で、ステッカーの後ろでペタッペタッってする粘度のあるのりで剥がせたりするのりなのですよ。
堂地加藤笹津へー!!
加藤他に、製本系ののりとで有名なのは・・・ホットメルトかなぁ
笹津ホットメルトですか?
堂地DIYとかでよく使われるグルーガンの製本用の温めて溶けるようなのりです。のりって、すごく難しくて、のりが強すぎてもだめだし、弱すぎてもだめだし、また、瞬間的に乾くのもだめだけど、乾かないのもだめだし、作業時間に合わせてぴったりののりを作るのも大変なんだよね。
堂地何かがバランス悪くなると作業できないから、本当にちょうどいいあんばいのものを作るのにも骨が折れますね。
加藤あとは浸透性ですね。浸透しすぎてしまうと剥がしにくいけど、一方で傷をつけてのりを染み込みやすくするミーリング加工をする方法もあるんですよ。無線とじという製本でよく使われます。
堂地昔、うちでもやってたんだけど、回転式の刃で『バリバリ』って紙を削って、ホットメルトを染み入らせて、最後に表紙を付けて完成になります。
加藤ちなみに関係ないですが、私、ミーリングの『キィィッ――――!』って音、大好きです。
堂地加藤笹津笑
堂地金属音じゃないけど、あの削れる音、いいよね。いい音。ハハハッ!!(笑