墨田で起こす、企業同士のケミストリー

サトウ化成:佐藤憲司 × ちいさな硝子の本の博物館:村松栄理

墨田で起こす、企業同士のケミストリー

私たちはウレタン・スポンジの型抜き加工によって緩衝材やパッキンなどを製造している『サトウ化成』の佐藤さんと、ガラス製品の販売のみならずガラスの模様付け体験、ガラスに関する資料公開などを行っている『ちいさな硝子の本の博物館』を営む村松さんのお話を伺いました。
どうやらお二人の間で何か約束が交わされていたらしく、佐藤さんが紙袋から取り出したのは村松さんのガラス製品がすっぽり収まるウレタンの器でした。

村松かわいい!!

佐藤これはウレタンを切るんじゃなくて切削、つまり削って作ったんです。これだと中が空洞になって面白いでしょ。ヒモは革のハギレを拝借しました。

村松色も形もいろいろ作れるんですか?

佐藤機械制御だから、ちょっと設計図を変えればすぐできますよ。

割れやすいガラスと緩衝材であるウレタンってのはベストな組み合わせですよね。こういったコラボレーションはどういった経緯で決まったんですか?

佐藤墨田の中小企業の集まりで会って、こういうのやったら面白いよね〜って感じで。

村松そうそう、稲垣っていう墨田の聖地的なもつ焼屋さんがあってそこで!それまではそんなに接点があった訳でもないですよね。

佐藤そうですね。でも村松さんの所のガラスなんかは、ケースに入れてディスプレイできればよりキレイに見えるんじゃないかって。
僕は基本的にいろんな所とコラボしてみたいと思ってるんです。最近の興味はコスプレですね。ウレタンで武器とか鎧を作ったりとか、いろいろやってみたいです。


▲コラボでのアイテムを見せ合うお二人

▲ウレタンでできたガラスのりんごケース


こういったコラボはどう活かされるんですか?

佐藤スミファで活用したいですね。こういうのを使ってお客さんにいろんな会社を周っていただけるような工夫をしたいです。
例えばそれぞれの会社で作られたパーツを集めていくと一つのアイテムが完成するとか…。あと、うちでメダルケースを作ってメダルを集める事にするとか。

村松メダル、いいですね!とにかく墨田には面白い会社がたくさんありますから。是非周ってほしいですね。

墨田のいいところって何だと思いますか?

村松やっぱり企業同士の交流が多い事じゃないですかね。

佐藤他の所もそういうのはありますけどね。それでも墨田は特に多いと思いますよ。

お二人にとってスミファはどんな場ですか?

佐藤お客さんと僕たちの、お互いの距離が縮まる場だと思います。お客さんからしたら、僕たちの仕事を肌で実感できるわけですから、大企業の工場見学とはまた違う気付きを得られるんじゃないかと思います。それと、僕自身が価値観を変えさせられる事もあります。印象に残っているのが、僕が製造している緩衝材を見たお客さんが『パッケージも含めて商品なんですね』と言ってくださった事です。商品を保護する為の緩衝材にもこうやって手間を掛けているって事に目を向けてくださったお客さんの表現にハッとさせられました。

村松私はスミファになるとマニアックな質問をされる事が多々あるので…それにちゃんと答えられるように、勉強し直すキッカケになってます(笑)

ありがとうございます。それでは最後に、今年のスミファはどんなものにしたいですか?

佐藤今年の楽しみは『連携』です。他社と共同で品物を作れるようにしてお客さんにたくさんの企業を周ってもらう事です。

村松そうして新たな繋がりが生まれて、化学反応…ケミストリーが起こればいいなって思ってます!


▲すみだについて語るお二人

▲取材場所は八広駅近くのCafe POKAPOKAさんにて


サトウ化成の佐藤さん

サトウ化成の佐藤さんとちいさな硝子の本の博物館の村松さん


今回驚いたのが、企業間のコラボがものすごくアッサリと決まる事でした。
このフットワークの軽さは中小企業ならではといった感じです。利益や採算の為、というよりやりたい事をやる為に手を取り合う姿勢がものづくりの有るべき姿を体現していて素敵だと思いました。また、墨田の企業同士がお互いをよく知っていて、信頼し合っている事も感じ取れました。ものづくりを営む人々にとって、墨田という地は本当に恵まれた場所だと思います。

取材担当:遠藤彪太(早稲田大学)

今回の対談を聞かせていただいて経営者の頭の柔らかさをとても感じました。
自分が持っているものを少しでも活かせるものならばなんにでも挑戦しようとする探究心、常日頃からあらゆるものに興味を持ちそれをストックしておき仕事に結びつけていく柔軟性を持っていくからこそ経営者として会社を発展させていけるのだと思いました。こんな経営者の方々が集まり開催するスミファでどんな面白いことが起こるのかとても楽しみです。

取材担当:藤井 駿(早稲田大学)